amazonで売っているクリッカーの使い方を元調教師が教えます!
近年、トレーニングや調教が動物園や一般のご家庭でも身近になってきましたね。
トレーニングを行うことで、これまで飼育における健康管理が難しかった大型の動物や、危険動物の管理が安全で確実に飼育できるようになり、家庭で飼育されている犬猫や鳥にも応用されています。
今回はamazonで簡単に購入できる「クリッカー」の使い方や、原理についてお話したいと思います。
クリッカーとは
クリッカーとは下の写真のような道具のことを指します。
ペットショップやアマゾンで普通に購入が可能なアイテムで、バリエーションが豊富であり、好みの色や形が販売されています。
真ん中のシルバー部分にある金属を指で押すことで「カチッ!」っとクリック音を鳴らすことが出来る道具です。
この音を使い、動物のトレーニングを進めます。
2次性強化子について
こちらの記事で書いたように、行動に影響を与える刺激は3種類あります。
- 強化子:行動を増やす
- 中性刺激:行動は増減せず
- 嫌悪刺激:行動が減る
実は一番上の強化子には「生まれつきご褒美」のものと「学習した結果ご褒美になった」ものが存在します。
前者を1次性強化子
後者を2次性強化子
と呼びます。
1次性強化子には以下のものが含まれます。
- 水
- 食べ物
- 光
- 注目
など、動物が生存を維持するために欠かせないものです。
イルカの調教の場合、ご褒美にお魚を使うのがご褒美として相手に伝わりやすいからですね。
では2次性強化子には何が含まれるのでしょうか?
- お金
- 称賛の声
- 拍手
- インスタなどの「いいね」
です。
「元々意味を持たなかった刺激」(中性刺激)が1次性強化子と結びついたことによって、ご褒美と変化した刺激です。
中性刺激を強化子へ変えるためのポイント
では、このクリッカーを愛犬のご褒美にするためにはどうすれば良いのでしょう?
もちろん愛犬にとって、このクリッカーから発せられる音は最初、何の意味も持たない「ただの音」です。(つまり中性刺激)
中性刺激である音にご褒美としての意味を持たせるには「対提示(ついていじ)」という手続きをとります。
対提示とは
- クリッカーの音「カチッ」の後に必ずジャーキーのおやつを与える
というように、中性刺激と1次性強化子を時間的に近づけて提示することを続ける手続き方法です。
これを繰り返せば、愛犬は
- 「カチッ」=「ジャーキーがもらえる」
という学習をし、何も意味を持たなかった音はジャーキーを連想させるご褒美と変化します。
イルカの場合は、犬笛を使用し同様の手続きを取るため、ほとんどのドルフィントレーナーは犬笛を口にしています。
クリッカーはどうやって使うの?
では、この2次性強化子はどうやって使用するのでしょうか?
これは
- 「いかに音を鳴らすか」ではなく「いつ鳴らすか」が重要
となります。
飼い主のあなたが愛犬を「褒めたい」と思った直後に鳴らすことをお勧めします。
- 「おすわり」を教えたければ、お尻を地面につけた直後
- 「吠える」を教えたければ、吠えた直後
- ジャンプを教えたければジャンプの直後
に音を鳴らし、60秒以内にジャーキーをご褒美で与えます。
こうすることで、ただ褒めるのではなく「具体的に」褒めることが可能となります。
まとめ
今回は、2次性強化子について簡単に書かせていただきました。
ただ1次性強化子を与えただけでは、褒めることはできるかもしれませんが具体的に何かを伝えるのは至難です。
そこで2次性強化子を使用し、動物に具体的に何をしたから褒められたを伝える必要があります。
- 本来意味の持たない中性刺激と1次性強化子を時間的に近づけ提示する
- 中性刺激が2次性強化子へ変化する
- 褒めたい行動の直後に2次性強化子を使用し、褒められたことを伝える
- 2次性強化子の使用後は必ず本来のご褒美をあげる
以上を守れば、言葉の通じない相手に対し「具体的に」褒めることが可能となります。
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