部下の育成にはご褒美が必要!でもその前に、大切なこと忘れてない?
さんざん今まで「ご褒美が!」とか「強化子が!」と叫んできたirukamanですが、今日は別の視点でをお話しします。
「部下に嫌われてたら、何褒めても効果が薄いのではないか」疑惑です。
そこのところを、僕なりにまとめてみました。
大切な刺激3種類
今回重要となるのが「大切な刺激3種類」です。
動物は行動の直後に出現した刺激によって、行動の頻度が変わります。
良い行動を褒めれば、良いことを繰り返します。
もし行動の直後に、嫌な刺激が出たら行動は減っていきます。また、行動の直後に良い刺激も悪い刺激も出なかった場合も、行動は繰り返されません。
行動の直後に出る刺激には3種類あり、それぞれ特徴があります。
- 強化子(快刺激)
- 罰子(嫌悪刺激)
- 中性刺激
とりあえず、3つ挙げます。
強化子(快刺激)
行動の直後に強化子が出現していると、行動は必ず増えます。
ご褒美をあげたら次も頑張った!そのご褒美は相手の強化子になっていると言うことです。
褒めるときは、この強化子を60秒以内に出すようにします。
褒める為の重要なテクニックです
罰子(嫌悪刺激)
行動の直後に罰子が出現していると、行動は必ず減ります。
ご褒美をあげたら次、頑張らなくなった。むしろ行動しなくなった。そのご褒美は相手にとって嫌悪刺激ということになります。
この罰子についても、話す機会を作りたいと思います。
中性刺激
行動の直後に中性刺激が出現していると、行動の頻度は変化しません。
「なに!?ご褒美にすら気付いてないだと⁉︎」
それは、あなたのご褒美が中性刺激だからです。
中性刺激の例
・時計のチクタクという音
・街中の雑踏
など普段生活していて、耳や目に入ってはいるが全く気に止まらない刺激。
行動の直後に、時計のチクタク!なーんにも嬉しくありませんし、嫌でもありません。
これが中性刺激です。
相手の行動の頻度に、何も影響を与えません。
ご褒美も嫌いな人から貰っては嬉しくない?
今日の本題。
そもそも、嫌いな人から貰ったご褒美は嬉しいのか?という疑問。
僕の考えでは「だいたいNoである」です。
こちらの記事で書いたように、強面の知らない男性から貰ったご褒美が強化しとして機能するか?
僕の場合は「機能しない」です。
たとえケーキだろうが、賞金10万円だろうが行動の頻度は減るでしょう。
理由は
- だって、怖いじゃん
です。
つまり、自分にとって恐怖を感じる相手から貰った強化子は強化子(ご褒美)になりずらいということです。
まずは相手との関係を築いてこその強化子です。
これは動物にも言えることです。
- ゾウの調教師は、初めて会ったゾウに対し「自分は害の無い人間」を印象付け、その後に調教を開始するそうです。
- 人と触れ合うことが好きなイルカも、大柄な男性や身体の小さなお子さんを避けるケースがあります。
- 飼い主以外の手から食べ物を受け取らないインコやオウム
自分が恐怖や不信感を抱く相手からのご褒美は、たとえ美味しい食べ物であってもご褒美にはならないんです。
人間相手でも、嫌いな上司から褒められて心の底から喜べませんよね。
「何か裏があるのでは?」と勘ぐってしまいます。
ご褒美と自分を結びつける
上記で挙げた状況を改善するテクニックが行動分析学には2つ存在します。
- 拮抗条件付け
- 順化
僕が現役時代よく使っていた「拮抗条件付け」を取り上げます。
このテクニックは、動物のしつけはもちろん、お子さんにも応用ができると思います。
拮抗条件付け
嫌悪刺激と強化子には面白い関係があります。
- 多少の嫌悪刺激は強化子が一緒に出現していると、強化子に変化する
嫌な刺激が出現した瞬間と同時に、快刺激も出現していると嫌な刺激が快刺激に変化する場合があります。
初めて迎え入れたワンちゃんに、いきなり手を出すと怯えさせてしまうことがありますが、ご褒美と一緒に手を出すとあなた手がご褒美と結びつき、やがて大好きになってしまうというものです。
注意
あくまでも、多少の嫌悪刺激に対して。です。
苦痛を伴う刺激
- 注射の針
- 身体的な痛み
- 大きすぎる恐怖心
などには、ご褒美の質・量を増やすか別のアプローチをかけなくてはなりません。
まとめ
今回は少し難しい内容になりましたが、まとめましょう。
- 動物の行動は、行動の結果の刺激によって増減する
- 刺激には3種類ある
- 強化子・嫌悪刺激・中性刺激
- 強化子はご褒美、行動を増やす
- 不信感や嫌悪感を抱く相手からのご褒美は機能しない
以上の5つのポイントです。
この辺を意識して相手に接すれば、ご褒美がしっかり機能するはず。