人生はイルカに聞け!元調教師のコミュ力向上委員会

30代前半の元イルカの調教師、が対人関係や動物のしつけに関する情報を発信するブログです

動物園事故から感じる飼育者と動物の安全について

こんにちは。

動物に関する悲しいニュースが報道されましたね。

www.fnn.jp

 

過去に大型の動物による飼育者への被害は何度も耳にしましたが、その度心を痛めます。

まずは亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

 

さて、今回ニュースに上がった「サイ」ですが、大型の草食獣です。

「草食獣だから危険はないのでは?」と感じる方もいらっしゃると思いますが、肉食だとか草食だとかは全く関係ありません。

人と動物と接することには、やはり危険が伴います。それは普段馴れ親しんだ犬猫も同じです。

動物飼育の現場では、飼育する動物に接する方法が大きく2つに分かれます。

直接飼育と間接飼育は、それぞれメリットデメリットがあり今回の痛ましい事故の場合、ニュースに上がっていた映像から間接飼育ではないかと想像できました。

 

直接飼育

直接飼育は、対象の動物に直接触れ管理をすることが可能な飼育の方法を指します。

メリット

  1. 同じ環境に飼育者が立ち、直に動物と触れる直接飼育では飼育動物への細かなケアーが可能となります。
  2. 怪我や病気など、対象動物に医学的な治療や処置が必要な場合に、直接出来る

デメリット

  1. 飼育動物からの攻撃的行動があった場合、身を守る術が少なく直接的に攻撃を受ける可能性が間接飼育よりも高い

間接飼育

ゾウやライオン、今回ニュースで挙がったサイなどの大型、もしくは危険の伴う猛獣を飼育する際に、直接動物に接することなく、柵越しに対応する飼育方法

メリット

  1. 動物から飼育者に対する攻撃行動を、直接受けないようにすることが可能

デメリット

  1. 直接動物に触れるのが困難なため、医療行為の際は難しい

このように、動物の種類により直接または間接的に飼育員は動物と関わり,動物を飼育管理しています。

もちろん、直接動物に触れることが出来る直接飼育の方が細かなケアーが可能ではと感じますが、現実問題難しいのです。

調教により得る人の安全

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では、イルカの場合はどうなっているのか。

イルカの場合、ある意味間接飼育であり直接飼育でもあります。

その理由としては

  1. 水中と陸上で生活エリアが分かれている。
  2. 調教内容によっては水中に飼育者が入る直接飼育と似た環境が発生する。

こうした特殊な環境であるため、ほとんどのことを調教に頼ります。

例を挙げると以下の通り

  1. 飼育スペースの出入りは合図により行う。
  2. 採血、検温などの医療行為は種目化し、調教により行う。
  3. 餌をあげる際、摂餌直前まで口を開けさせない。
  4. 保定する際、水陸問わず落ち着いている態度は褒める。

様々なことに気をつけていても、事故は起こる可能性があります。

実際、現役時代はとても怖い思いもしました。

調教により得る動物の安全

人間側にメリットが多いように感じますが、実際には管理されている動物にもメリットは多いです。

  1. 医療行為の場合、これから自分(動物)が何をされるのかが理解できる。
  2. そうした環境において、動物側に拒否権があり無理矢理には行われない。
  3. 行動すれば強化子が出現し、動物にメリットが生じる。(ご褒美獲得)

 

調教において動物が「合図に反応しない」という現象を度々目にするが、これはその指示に対して動物が拒否をすることが可能ということであり、協力する気があるなら合図に反応するだろうという考え方。

 

今回のケース

ニュースにあったサイの飼育スペースには幅30cm間隔の柵が設置されていました。

この映像から間接飼育であると考えます。

飼育員はサイの治療に用いる軟膏を手にしていたということですので、何らかの傷のケアーを目的として柵に近づき、サイから攻撃を受けたものだとされます。

 

こちらは浜松市動物園でのゾウの採血の様子です。

柵越しに自ら顔を押し当て、耳を飼育者へ預けて採血に協力しています。

動物に関わる方々には、くれぐれもご自身の安全と動物の安全を確保してほしいと心から思います。

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イルカの睡眠ってどうなってるの?意外と知らないイルカの能力と特徴

こんばんはirukamanです。

夏休みとなり、観光地が盛り上がりを見せていますね。

 

僕はというと、結局仕事でバタバタ。あまり休みの感じがありません。

そんな事を思いながら記事を書いていると、ふとイルカの睡眠について無性に書きたくなりました。

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 睡眠とは

  • 睡眠:眠りのこと。活動停止の状態。

この睡眠のおかげで、僕たちは朝から活動できるわけです。

僕の場合、23時に就寝し朝6時に起床。7時間の睡眠時間を日々のルーティーンとしています。

 

皆さんはしっかり睡眠を取れていますか?実は、今から3年ほど前、睡眠障害を患った時期が1年ほどありました。

全く寝れず、でも会社に出勤しなければならない。仕事の性質上、立ち仕事なのですが日中に襲う激しい眠気と戦う日々は正に地獄でした。(現在は解消)

イルカの睡眠の特徴

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人間でも注目されている「睡眠」ですが、イルカの場合はどうなっているのでしょうか?

水族館などのイルカは野生の環境とは異なり「外敵」の脅威から隔離された環境で生活をしています。仕事上、僕は過去に様々な水族館へ足を運びイルカを観察しましたが、脅威のない環境においてはぷかっと浮かんで寝るイルカが多いように感じました。

 

また、特殊な例では仰向けの状態でプール底に沈んで寝るイルカもおり、来館者から心配の声が上がることもあったそうです。

 

本来、野生のイルカの場合はゆっくりと泳ぎながら睡眠をとります。

なぜ泳ぎながら寝ることができるのか?その秘密が「半球睡眠」にあります。

半球睡眠

人間が睡眠をとる場合、大脳は左右同時に睡眠をとります。

しかし、イルカや一部の鳥類は左右交互に睡眠をとることができるのです。これが半球睡眠。

こうした睡眠をとることが出来る動物の脳の構造には「脳梁が無い」そうです。

  • 脳梁とは:大脳の中心にあり、左脳右脳を繋ぐ神経の束

 

半球睡眠をとっている場合、動物は行動を続けながら睡眠をします。

イルカの場合、泳ぎ息継ぎをしながら睡眠をとるわけです。

1回の睡眠は約1分。これを1日300回ほど繰り返し、人と同じくらいの睡眠時間をとっているそうです。

なんだか疲れそうですね。では、なぜ完全に寝ないのか?

それには、イルカの呼吸が大きく関係しています。

 

人間の場合、無意識に息を続ける無意識呼吸なのに対し、イルカは意識呼吸を行います。

意識しないと呼吸ができないのです。

半球睡眠のおかげで、意識的に睡眠中に呼吸を続けることが可能になるわけです。

まとめ

動物には人間には備わっていない凄く魅力的な能力がたくさん備わっていますね。

半球睡眠のことなんて、動物に関わる仕事をしなかったら絶対知らなかった事ですし、熟睡すると息が止まってしまうなんて想像もできません。

 

まだまだ面白い能力がたくさんあるので、今後もこのブログで発信できたらと思います。どうぞお付き合いください。

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動物のしつけでスタンガンは必要ない!大切なのはヒントをどう出すかだ

こんばんはirukamanです。

先日嫁と仕事の話をした時に「子どもに出すヒント」について話題となりました。

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「子どもに出すヒント」といきなり言っても伝わりにくいですね。

嫁は小学校の先生をしていますが、あくまで生徒自身で「気づき」を得て欲しいということから「答え」を簡単に出さないようにしているそうです。

 

なるほど。

イルカと一緒だねー。

 

そんなわけで、今日は「ヒント」について簡単にお話したいと思います。

 動物に何かを教えるということ

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動物の調教師やトレーナーさん達は「教える」という仕事をしています。

僕も以前、イルカ相手に様々な種目を教えていましたが、いくら賢いと言われているイルカであっても、教えたことを直ぐに覚えて翌日に新種目が完成!

なんてことはありません。

 

時間がかかる場合は数ヶ月かけ、じっくり丁寧に相手に教えることがとても重要です。

もちろんですが、これは人間相手でもなんら変わりません。

今日教えてことが、明日出来ている。なんてことは人間の場合でも滅多とありませんからね。

 

おウチのワンちゃんが「おすわり」を覚えない!「バカな犬だ!」なんて、言ってはいけません。覚えるまでやり通すことが「教える側の責任」です。

計画

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まずは計画を立てなくてはいけません。

もし「おすわり」を犬に教える場合ですが、犬が座るために必要な行動を書き出してみます。

  1. 頭を少し上げる
  2. 後脚を崩し
  3. 重心をお尻に移動させ
  4. お尻を床につける

ざっと書きましたが、こんな感じでしょうか?

犬のトレーニングはしたことないので、何かあればすみません。

 

こんな感じで計画を書き出し、おすわりを教えるために何を教える必要があるのか。

を明確にする必要があります。

課題分析

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つぎに「何ができて、何が出来ないのか」という課題を分析しなければなりません。

  • 頭を少し上に上げる事は出来ても、後脚を崩せないとか
  • 後脚を崩せても重心が下がりきらないとか

こうした課題を見つけ、そこを重点的に練習し課題をクリアしたら褒める。

これを繰り返し練習させ簡単にこなせるようにしていきます。

 

ヒントの出し方

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さて、課題を見つけたもののヒントが無ければクリアできる確率は低くなってしまいます。

ここでヒント(プロンプトと言います)の出番です。

僕が飼い主であれば

  • 頭を少し上に上げる事は出来ても、後脚を崩せない

という課題であれば、腰辺りを手で押し下げてみようと思います。

これは、相手の身体に直接触れ誘導する方法。

 

  • 後脚を崩せても重心が下がりきらない

この場合であれば、手のひらに鼻でタッチしたらご褒美を出すルールを設けて、お尻が自然と床につくように頭の位置を高めに誘導しようかと思います。

手などの目標物にタッチさせ誘導する方法はイルカでもよく使います。

 

ヒントを出す上での注意事項

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ヒントを出すと、正しい行動や正解へ誘導できる確率はグッと高まります。

しかし、出しすぎた場合、動物はヒントに頼るようになり頭で考えなくなってしまうことがあります。

 

ヒントはあくまでもヒントなので、あまり長期間にわたって使用し続けるのはお勧めできません。

正解の行動が出たら、徐々にヒントをフェードアウトさせていくことを進めていきましょう。8割正解が出てくれば、ヒントを消し始めた方がいいかと思います。

 

ヒントに依存した動物からヒントを消そうとしたことがありますが、徐々に消えていくヒントに余計集中してしまうことが起きました。

結構めんどくさかったです。

まとめ

簡単ですが、まとめたいと思いいます。

動物に何かを教える場合、ヒントを出す事はとても重要です。しかし、その前に以下のポイントを押さえましょう。

  1. 計画を立てる
  2. 課題を分析する

これをした上で、壁にぶつかった時にヒントを使います。

ヒントを使うポイントは

  1. 課題をクリアする時に使用
  2. 8割正解が出ればヒントを消し始める
  3. ヒントに依存させてしまうと自分で考えなくなるため注意する。

いかがでしょうか?

動物にしつけをする場合、力でどうこうする話を耳にしますが、スタンガン使って教えるなんてありえませんからね!

スタンガン使うくらいならヒント使ってやれよと思います。

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